SPECIALISTの声

ドッグセラピーとの出会い(ドッグトレーナー石川恭平)

2019年12月13日

人間の心を優しく癒してくれるドッグセラピーについて、ドッグトレーナーの石川恭平さんにお話を伺いました。
ドッグセラピーは高齢者施設や学校などでも効果が高く評価されていて、海外でも注目されている活動です。
実は石川さんはドッグダンスの達人でもあり、何度も大会で優勝されている実力者です。以前お笑い芸人さんがドッグダンスに挑戦した際に、先生として登場した石川さんと愛犬ハルをテレビで見かけた方も多いと思います。

石川恭平氏
-Wiz.dog Club(ウィジードッグクラブ)所属
-ドッグライフコンダクター
-ウィジードッグアカデミー講師
-パートナー:ハル(キャバリア・♀)ファン(ボーダーコリー・♂)
Web Site:https://wiz-dog.com/

 

自己紹介


ウィジードッグクラブ本部でドッグトレーナー・ドッグセラピストの活動をしています。
石川恭平(いしかわきょうへい)です。
愛犬のキャバリアのハル・ボーダーコリーのファンと一緒に東京都を中心に、関東地方各地で活動しています。

ドッグセラピーとは?


私がドッグセラピーを知ったのは、とあるテレビ番組でした。
病院の一室にいる白いゴールデンレトリバーとパジャマ姿の男の子。一目見て、これを自分の仕事にしたいと決心をしました!!
それから8年……ドッグセラピーを通して多くの人、犬と出会って来ました。

今日はドッグセラピー活動を一人でも多くの人に知ってもらえるように活動を紹介したいと思います。

本来はアニマルセラピーという表現が正しく、海外では、馬や鳥、イルカなど多種多様な動物がセラピーの現場で活躍しています。 しかし、日本を含めてアニマルセラピーの現場で活躍する動物は『犬』であることが多いです。
それは人にとって古来から一番身近な動物であることが理由です。

セラピードッグは、温厚で人懐こい性格であり、さらに特別な訓練を受けていなければなることが出来ません。

セラピードッグを連れて、様々な場所に訪問しふれあい活動やレクリエーションを行う活動がドッグセラピー活動です。

訪問する場所は高齢者施設、小学校、児童館、病院、個人宅と様々です。
セラピードッグ訪問を希望している企業さんもあります。ご依頼があれば、どこにでも行きます。

ドッグセラピーのプログラム


ドッグセラピー訪問をする場合、ホールや玄関に集まっていただき、1時間ほどのプログラムを実施します。

まずはご挨拶。
セラピードッグの紹介とふれあい時間です。
触ってもらいやすいようにセラピードッグを近づけたり、時には抱っこしていただいたりします。怖がっている人には、まずは人が声をかけて少しずつ犬との距離を縮めます。

全員の方へのご挨拶が終わったら、一番盛り上がる、キャッチボールの時間です。
犬が大好きなボールを、対象者の方に投げてもらいます。キャッチをしたら、投げてくださった方にお届けをします。

キャッチボールは、昔飼っていた犬とのボール遊びを思い出したり、ボールを取るのに夢中になる犬の様子がおかしかったりするのか 歓声や拍手がわきます。

季節感を感じるプログラムも実施します。
サクラの花びらで着飾った犬がドッグダンスを踊ったり……
夏祭りにちなんで犬と一緒に輪投げをすることもあります。
秋にはお月見団子を犬にあげていただき……
冬にはサンタの恰好をした犬がプレゼントを渡したりします。

プログラムも後半になると、犬達も喉が渇いてきます。
犬へミルクをあげるプログラムも人気です。
対象者様のお膝をお借りして、ミルクをあげていただきます。ミルクを飲む犬の頭をなでながらニコっと笑う方もたくさんいます。

最後はもう一度、ふれあいの時間。
一緒に過ごすことで、多くの変化を感じることができます。
覚えた犬の名前をたくさん呼んでくださる方。もう1度キャッチボールやりたいと言ってくださる方。
最初は怖いと言っていた方が抱っこをしていたりすることも珍しくありません。

*上記の実施プログラムはあくまで一例であり、施設様のご希望や対象者様の介護度に合わせて実施プログラムは変化を付けています。

ドッグセラピーエピソード ~高齢者のAさん~


2019年11月の訪問で丸3年、セラピー訪問を続けている高齢者施設があります。
月に一度、訪問をしていて、毎回ボーダーコリーのファンを連れて行きます。

開始15分ほど前になると、必ず一番乗りで来てくれるAさん。
「ファンちゃん、よく来たね。お部屋にファンちゃんの写真を飾っているんだよ」毎回にっこりとほほ笑んで私に声をかけてくれます。
「ありがとうございます!今日もファン、元気いっぱいです。いっぱい遊んでくださいね。」そう、私もお返事します。

ファンも私もAさんにお会いできるのをいつも楽しみにしています。
キャッチボールも、ミルクやりも最初に手を挙げてくれるAさんは、みなさんのお手本としても活躍してくれていました。

しかし、毎回皆勤賞だったAさんが参加しない時がありました。
施設の方に伺うと体調不良とのこと……

翌月の訪問、時間になってもAさんは来ませんでした。
お部屋に訪問するとAさんは「足が痛くて、歩くことが嫌になってしまった」と言っていました。
「次は下まで降りるの、お手伝いします。来月、ファンと一緒に待っていますね。」そう、約束をしました。

翌月の訪問、準備をしていると「ファンちゃん!」という大きな声が聞こえました。
Aさんが杖をつきながら、にっこり笑顔で立っていました。
「足痛いけど、頑張ってきたよ。今日も遊ぼうね」そうAさんはファンの頭を撫でながら声をかけてくれました。

その日は最初から最後まで、すべてのプログラムに積極的に参加してくださいました。
1時間プログラムが終わった後、杖をつきながらゆっくりとお見送りまで来て車で帰る私に一生懸命手を振ってくれました。

私にとって一生忘れないドッグセラピーの思い出になり、犬の持つ力を改めて感じた経験でした。

ドッグセラピーの目的は対象者の方により変わります。心の癒し、会話をすること、リハビリを目的とした動作を促すこと。 様々です。しかし、共通していることもあります。それは、犬が介在することで人と人とをつなげてくれることです。

Aさんは、ファンがいてくれるから私と約束をしてくれました。
ファンと会いたかったから私との約束を守ってくれました。

犬の持つ力で、お隣の高齢者の方、施設のスタッフの方、ご家族さまや訪問したドッグセラピストと対象者様同士をつなげる。 それが、ウィジードッグクラブがどんな時でも目指す。ドッグセラピーです。

夢を与えてくれた母に感謝


私が18歳の時に母が子宮ガンで亡くなりました。ガンが発覚してから2年間の闘病生活は、見ている私も辛い期間でした。
ほとんどが病院のベッドの上でしたが、母は退院を目標に、治療に向き合っていました。
力の源になっていたのは、当時飼っていた一頭のポメラニアンでした。

家に帰って、その子に会いたい。その一心で治療を乗り越える姿に私は犬が持つ、人の心を動かす力を実感しました。
母の事が無ければ、私は犬業界に足を踏み入れることはありませんでした。

私の目標は、医療の現場でのドッグセラピーの普及です。何年かかるか分からない、難しい目標かもしれません。しかし、その目標を忘れずに母に良い報告が出来るよう、ドッグセラピー活動をこれからも続けていきます!

ドッグセラピストを志す方へ


そんなきっかけでドッグセラピストを目指すことになった私は、ありがたいことに自分が卒業した養成学校の「ウィジードッグアカデミー」で講師を務めています。
ドッグセラピーは犬も人も足りていないのが現状です。
このコラムを読んで、一人でも多くの方がドッグセラピーに興味を持って頂けたら嬉しいです。

出身校
ウィジードッグアカデミー  https://www.japan-dog-academy.com/
ドッグセラピー紹介動画 https://www.youtube.com/watch?v=Gb3Ppe-lpoE

編集後記
石川さんはドッグトレーナー、ドッグセラピスト、ドッグダンサーとして幅広い活動をされていて、普段は飼育者の皆さんに優しく犬のしつけを教えてくれる笑顔の素敵な先生です。最近行なわれたドッグダンス大会でも優勝されています。これからもイージードッグは石川さんの活動を応援していきます。

寄稿:Wiz.dog Club(ウィジードッグクラブ)石川恭平氏

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