SPECIALISTの声

獣医さんに教えてもらう「改めて知る、散歩の大切さ」/【第2回】犬の身体は“散歩の質”で変わる

2026年03月27日

臨床歴35年というベテラン獣医師であり、大学で学生に指導をされることもある小沼先生に愛犬の散歩について伺いました。
「散歩は“運動”だけではありません。犬の身体・心・そして人との関係を整える時間であり、その先に予防医療につながる大切な時間です」と、改めて散歩の大切さを教えて頂きました。
愛犬との大切な時間である散歩について、獣医さんの視点から全4回にわたり解説してもらいます。今回は第2回目です。



小沼守 獣医師・獣医学博士
-千葉大学特担教授
-大相模動物クリニック名誉院長
-どうぶつ健康科学研究所所長
-日本獣医腎泌尿器学会(認定医)
-日本サプリメント協会(ペット栄養部会長)
-日本ペット栄養学会(動物用サプリメント研究推進委員)
-日本国際動物救命救急協会(アドバイザー)
-獣医アトピー・アレルギー・免疫学会(編集委員)その他、所属団体多数

 

犬の身体は“散歩の質”で変わる


~ 元気そうに見える犬ほど、見逃されやすいサイン~


「うちの子は元気だから大丈夫」診察室で、飼い主さんからよく聞く言葉です。

確かに、よく食べて、よく歩いているように見える犬は、一見とても健康そうです。
けれど、35年間臨床に携わってきた中で私は、元気そうに見える犬だけど、心と身体の負担が見逃されているケースをたくさん見てきました。

その多くに共通しているのが、「散歩の内容」と「散歩の仕方」です。
散歩は、犬の身体をつくる基本。

散歩は、ただの移動ではありません。
犬の身体にとっては、「筋肉・関節・心肺機能・姿勢」を毎日少しずつ整える、大切な運動です。特に犬は、人と違って「自分で運動量を調整する」ことができません。

どんな散歩をするかは、ほぼすべて飼い主さんに委ねられています。
「たくさん歩く=良い散歩」ともいいきれません。



「長く歩いているから安心」「毎日しっかり距離を稼いでいます」そうおっしゃる飼い主さんも多いのですが、実は歩く距離や時間よりも大切なのは質です。

例えば飼い主さんが常に引っ張られていないか、愛犬の首や胸に強い負担がかかっていないか、などこうした点は、犬の身体に大きく影響します。

首・胸・背中は、思っている以上に繊細です




首輪やハーネス、リードは、犬を言うことを聞かせるための道具ではありません。
本来の役割は、犬の身体を守り、安全に一緒に歩くためのサポートです。
「犬の体型に合っているか」「動きを妨げていないか」「飼い主が無理なく扱えるか」が重要です。

犬の首の周りには、「気管・神経・血管」など、重要な組織が集まっています。
強く引っ張られる散歩が続くと、首の負担から咳が出やすくなったり、首を触られるのを嫌がったり、眼圧があがったりなど年齢を重ねてからトラブルとして表に出てくることもあります。

また、胸や背中も、サイズや形が合っていない状態で負担がかかり続けると、姿勢の崩れや、筋肉のアンバランスにつながることがありますので、愛犬に合うものを選びましょう。

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年齢によって、散歩の考え方は変わります




犬の年齢によって、身体の状態は大きく違います。
年齢によって散歩の仕方を変える必要があります。

子犬:成長途中の関節や骨を守ることが大切、距離よりしつけとして「経験」を重視
成犬:筋力維持とストレス発散のバランス、出来れば単調になりすぎない工夫
高齢犬:短くても、無理のない散歩、歩くこと自体が筋力低下の予防になる

愛犬は成長しているのに「昔と同じ散歩」を続けることが、必ずしも正解とは限りませんのでご注意ください。


犬のタイプによって、工夫は変わります




引っ張りやすい犬→ 無理に止めるより、ペースと安心感を整える
怖がりな犬→ 距離・時間を短くし、「慣れる」を急がない
高齢の犬→ 歩く距離より、「外に出る体験」を大切に

「他の犬と同じでなくていい」、それが、適正飼養の考え方でもあります。


散歩中に気づいてほしい、身体からのサイン




散歩中、犬が「急に立ち止まる・座り込む・歩きたがらない」そんなとき、「わがままかな?」と思うかもしれません。ですが、それは身体からの小さなサインであることも少なくありません。

「疲れ・違和感・痛みの始まり」

散歩は、そうした変化にいち早く気づける時間でもあります。
このように犬の身体を見守る散歩をしましょう。

不思議なことに、犬の身体に無理のない散歩を心がけるようになると、「落ち着いて歩けるようになった」「途中で疲れることが少なくなった」という声を聞く事もあります。

犬の身体が楽になると、心にも余裕が生まれるからです。

次回は「犬の心」と散歩のお話です。

寄稿:小沼守氏 獣医師・博士(獣医学)

編集後記—

小沼先生には普段より色々と教えて頂いていて、新しい製品の開発を監修されたり、イベントで動物の健康に関するセミナーの講師もしています。散歩は量ではなく、質によって愛犬の身体が変わるとのこと、とても奥が深いですね。普段の散歩も、少し考えて工夫することが大事とのこと。次回のお話も、楽しみです。

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